でもいつもそれぞれの道を歩いていた。
春。
卒業。
道。
「!!」
「あ?どうしたん、亮。」
「お前、大阪戻るんだろ?」
「どっからモレたんやろ……。」
「職員室のジジイ。」
「あのハゲ………!!」
ここらへんじゃ珍しい大阪弁。
ちょっとキツい性格。
その性格とは不釣合いな麗しい容姿。
入学したてのころは大分騒がれた。
年上。
年下。
タメ。
色々声をかけられた。
その度に出てくる人の名前。
「ウチ、三上くんが好きやから。」
それはスグに広まって、
三上自身の耳にも入った。
三上のことを好きな集団の耳にも入った。
いつかの放課後。
「さん。貴方三上くん好きなの?」
呼び出された。
「好きやけど、それが何かあるん?」
「貴方馬鹿でしょ!好きなことを三上くん以外に言って何になるのよ?三上くんに迷惑じゃない!」
「言わないで纏わりつく方が迷惑やと思うけど。」
「何ですって?!」
呼び出した女子の手が上がり、は自分の身を庇おうと手を前に出した。
が、手は振り降りてこなかった。
「何してんだ?」
三上が現れたからだった。
その女子はうろたえ、何も言わずにどこかへ行った。
その場には2人しかいない。
「俺のこと好きって本気?」
「そやけど何か?」
は花が咲き乱れそうなほどの笑顔を見せた。
だが、その場には少し合っていない。
「俺のどこが好きなんだ?」
「サッカーしてるとこ。」
「あ?」
即答だったのと、内容が限られた部分だったのとで三上は拍子抜けした。
はそんな三上を意味もなく見つめる。
それに照れて顔を伏せた。
そんな姿も見つめている。
「あんなー、ウチサッカー好きやねん。でも女ってやれるとこあんまりないやろ?
だから見てるだけでいいって思ってんの。で、見てて凄いって思ったのが、」
「俺ってわけ?」
「ちゃう。」
わざと伏せていた顔を上げる。
その時にはは別の方を向いていて、三上に背を向けていた。
「凄いって思ったのが渋沢くん。なんていうか、迫力?みたいな。
で、かっこいいって思ったのが君やってん。」
そこでは振り向いた。
三上とばっちり目が合った。
にっこり微笑んで、話を続ける。
「見た目冷めてそうやのに、プレイ中は楽しそうに熱くなってる。そこがかっこよかった。」
「……………」
照れて何も言い返せなくなった。
はまた背を向け鼻歌を歌い始めた。
♪ でも いつもそれぞれの 道を歩いていた
曲がったり交わったり 道を歩いていた
そのサビの部分が終わろうとしたとき、何かを思い出し、
あ!っと声を上げた。
「でもな!つき合いたいとか、そういう好きちゃうで!
えっと…≪尊敬≫みたいな好きっていうか……。」
何て言うのか迷ってるは、自分の世界に入っていた。
そんなを三上は後ろから抱き締めた。
「そんじゃあ俺が言うわ。
『好きだからつき合ってください。』」
ちょっとカタコトになっていた言葉に、今度はが照れた。
「OK?NO?どっちなんだよ。」
「オ・・オーケー!!」
その返事に三上は笑った。
つき合い始めた2人。
だけど周りから言わせると、
≪つき合ってるウチに入らない。≫
廊下で擦れ違っても、挨拶を交わすだけ。
「よお。」
「おはよう。」
登下校も別。
お互いのクラスに行くなんて滅多にない。
それでも、たまに喋ってるときは楽しそうで、どこか嬉しそうだった。
「で、何で戻るんだよ。」
「お婆ちゃんがこないだ倒れたんやて。丁度いいからウチも戻れ言われた。」
「俺のこと忘れんなよ。」
「忘れるわけないやろ。まぁ高卒したらこっちの大学行く予定やけどな。」
「お前の頭で受かれんのか?」
「何言うてんのー?ウチだからこそ受かんのや。」
2人とも笑った。
でも三上は途中で笑うのをやめた。
「…、上向け。」
中学3年間を過ごした学校の門の前、
2人はキスをして、
3年後の愛を約束した。
++++アトガキ。++++++++++++++++++++++++
うっわ〜…。三上が三上じゃねぇ!
リク消化期間中の作品です。
だからちょっと短かったり
似たような内容だったり。
…ダメですね。
南結笑