事の始めはアイツのあんな言葉だった。

アイツがあんな事言うから俺が狂ったんだ。

くそムカツク……











「ねーねー三上ー。今年のバレンタイン欲しい?」

「あ?別に貰ってやらねー事もねーけど。のならな。」

「あっそ。じゃああげない。」



今までずっと同じクラスで

バレンタインのチョコも俺用にビターチョコをさらに苦く作って

それでいて自然に渡してくれていたが。

そんなが。









冷たく笑って言い放った。















それからの俺はもうボロボロ。

得意の数学でも。

今まで勝ち残ってきたサッカーでも。







何もかもうまくいかねぇ。

うさばらしに渋沢相手にPKやっても1本も決まらねぇ。

いつものセットプレイ練習でもうまくあがんねぇ。

ニアにいた馬鹿(藤代)に馬鹿にされ。

ファーにいた辰巳からは無言で肩を叩かれ。









「三上、どうしたんだ?お前らしくないぞ。」

「…別に。」

お前はいいよな。

自然につき合い始めて、自然にチョコ渡してくれるヤツがいてよ。

か。」

声に出していないつもりが、出してたらしい。

っつか渋沢に悩み相談してるみたくなってんのがムカツク。

「何かあったら俺に言えよ。」

「………」













何かムカツク。

何か悔しい。

何か虚しい。













「〜〜〜っくそ!!」





思いっきりボールを蹴った。

ボールは高く弧を描き、

高いネットを越えていった。


















あ?越えていった?















「三上先ぱーい!!ボールネット越しちゃってるじゃないっスかー!!」

「…うっせーよ!馬鹿は静かにボール蹴ってろ!!」

「ひっでー!馬鹿って何スか、馬鹿ってー!」

「誠二、三上先輩機嫌悪いからやめといた方が身の為だよ。」

「だってよータクー。」

「あ…」

「笠井、馬鹿には何言っても分からねーようだぜ。」

藤代を後ろから蹴り飛ばす。

前に飛ばすと笠井がいるから斜めに。

俺って親切だよな。















「三上〜〜〜。危ないじゃーん!」

「何がだよ。」

「今!上からボール落っこちてきたんだよー!!目の前に!」

「あ…」









ボールがネット越えしたまではいいけど(よくない)

その後の行方はほったらかしだった。

まさかの前に落ちるとは……

恐ろしい……











「はい、ボール。」

「あぁ…」

「で?どうしたの?」

「は?」

「は?って何よ。何かあったの?三上が荒れるなんて珍しいじゃない。」

「…身に覚えがねぇのかよ。」

「私何かしたっけ?」









俺もも黙り込んで、周りにいた馬鹿と笠井までも気まずくなる。

本当に覚えてねぇのか?













「あ!もしかしてさ、バレンタインあげないって言ったこと?!」

「三上先輩そんなの気にするんスか?!」

「荒れてたことよりその理由に驚きましたよ。」

「荒れるなんてしょっちゅうだもんなー。」











藤代がケラケラ笑ってやがる。

「お前等どっか行け!」





「本気にしてたわけ?バカねー。」

「嘘だったのかよ。」

「うん。私があげないはずないじゃない。」



はい。と言って渡された袋は、綺麗にラッピングされていた。













「……サンキュ。お返し何がいい?」

「別に何でもいいよー。三上がくれる物ならね。」

「ふーん。…じゃ愛情たっぷりのキスやるよ。」























レギュラー陣を隠れて見てた奴らが、悲鳴にも近い喚き声をあげた。

泣いてる奴もいる。







「ねえ三上、私明日殺されるカモ。」

「そうかもな。」

















そうなるんなら、俺も死んでやるよ。

助けてくれるんじゃないんだね(笑)

まあな。



























++++アトガキ。+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

月代由樹夏さんへの捧げ物。800hitリクです。

リク内容が≪三上と互角の悪魔なタメ≫だったんですが、

三上自体悪魔じゃなくて、へたれ街道まっしぐら!!

リクに沿ってねえ(笑)

ヒロイン……は知らないうちにプチ悪魔ってことで(意味不明)

800hitありがとうございました!!!

             南結笑